2014年ソニーの配給で公開されました。予算55~73百万㌦、収入192百万㌦だそうです。勧善懲悪ハードボイルドです。D.ワシントンさん(1954年12月生まれ)は、撮影時(2013.6~)58歳だったそうです。以下、あらすじです。 ボストン在住のロバート・マコール(ワシントン)は、ホームセンター勤めの一人暮らしです。睡眠時間が少ないため、ダイナーで夜更けに読書です。店の常連の売春婦アリーナ(C.G.モレーツ)には、あらすじを訊かれます。ある晩、顔にアザを作ったアリーナにおやつを差し入れたことから、相談相手になります。しかしエージェントのロシアマフィアは、マコールの善意を快く思いません。以下、背景/トリビアを3点ほど補足します。1.連邦法の「人身売買と性暴力防止法」(Victims of Trafficking and Violence Protection Act of 2000: TVPA)が2013年に「女性への暴力防止法」(Violence Against Women Act of 1994: VAWA)に統合された時期の公開です。モレーツさんの出演動機だそうです。(Activism / Chloë Grace Moretz) アリーナは思春期の羞恥と潔癖がありますが、エフェボフィリア(Ephebophilia)の客を取らされます。ダイナーシーン(7’05”~, 10’38”~, 14’18”~)は入念で、たとえば声のかすれ、目のくま、頬のこけ、鼻の荒れは、ストレスによる薬乱用(drug abuse)です。話しながら渡る橋(Andrew P. McArdle Memorial Bridge, 19'00)は、マコールの通勤駅(Chelsea)とアパート(42, Falcon St, Boston)の途中にあります。通勤バス(5'16")は、「117: Wonderland station–Maverick station via Beach Street」です。(List of MBTA bus routes)2.事務所(26'42")の聖母子像(Madonna and Child)は、ロシアマフィアの間で「生まれついての犯罪者」を意味するそうです。(Vory tattoos / Thief in law) スラヴィ(D.ムニエ)は、アリーナの機会均等(Equal opportunity)への意欲を厄介視して、マコールに「Дедушка」(Dedushka, grand-pa, じいさん)を4回使います。一方、マコールは法でなく倫理で裁くので「I'm sorry.」とつぶやきます。アリーナの搬送先(21'53")は医療センター(Boston Medical Center)のようで、最高レベルの外傷治療(trauma center)と医療保険のない患者受け入れ(safety net hospital)で有名だそうです。3.ニコライ(M.チョーカシュ)の胸の文(47’58”)は「Не тронь меня, если хочешь жить!」(Ne tron' menya, yesli khochesh' zhit'!, Don’t touch me, if you want to live.ハンパは容赦しない)です。喉元のダガーは囚人殺し、左右の肩章と八芒星(octagram)は幹部、左腕の「243」は元警察(つまりKGB)だそうです。(Russia / Criminal tattoo) 背中(48’20”)と腹の鬼は「голова дьявола」(golova d'yavola, devil head)のことで反政府の意味だそうです。(Vory tattoos) 頭蓋骨(skull)は殺人、教会は窃盗、左腕(48’36”)の蜘蛛は「現役」、フードの処刑人(Hooded Executioner)は親戚殺しだそうです。(Designs / Russian criminal tattoos) 背中の「смерть」(smert', death)は、かつての憲兵(СМЕРШ, SMERSH)に発音が似ています。恐怖支配はプーシキン(V.クリッチ)の言う「弱みを見せたら…」の悪徳なので、各人出血性ショック(Hypovolemic shock)、磔(Nailing)、電気椅子(Electrocution)を科されます。釘は矢じりと同様、抜かないと筋肉がこわばったまま、思うように動かないそうです。加熱ハチミツによる傷の手当と灼熱止血(Cauterization)は、昔の応急処置だそうです。
2023/06/08